OLD BOTTLES

現在では非常に入手が困難な、麗しき往年のボトル達のご紹介です。

バランタイン30年  1973年流通品  イタリア市場向け

ブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの「バランタイン」は、1827年創業のジョージ・バランタイン&サン社によって生産されています。

創業者のジョージ・バランタインは、エジンバラにて食料品店というかたちで創始したのですが、それに満足せずにウイスキーのブレンダーとなってグラスゴーに進出し、今日の繁栄をもたらす礎を築きました。

ご存知の通り、ブレンデッド・ウイスキーというものは、熟練のブレンダーの手によって複数のモルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーをブレンドして生み出されています。そして、ほとんどのブレンデッド・スコッチ・ウイスキーがそうであるように、「バランタイン」にも熟成年数の違い等によっていくつかのラインナップが存在します。

ボトルのラベルに明記されている熟成年数には、一定の決まりごとがあるのもご存知でしょうか?それは、ブレンドに使用している全ての原酒の「最低熟成年数を表記すること」というものです。
つまり、“その数字以下の熟成年数の原酒は一切含まれていない”ということです。
更に言うと、その数字を超える熟成年数の原酒の使用に関しては全く問題がありません。もう少し長熟の原酒が含まれている可能性は多分にあるのです。

今回ご紹介するのは、ブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの最高峰と謳われている「バランタイン30年」です。32種類のモルト・ウイスキーと5種類のグレーン・ウイスキーの原酒がブレンドされていると言われています。

しかも、このボトルは、1973年に1200本のみ生産されたイタリア市場向けのものになります。そして、なんと原酒は1939年以前のものが使用され、既に蒸留から80年程の歳月が流れているのです。

因みに1938年は、北米のハイラム・ウォーカー社が、グラスゴーの西にあるダンバートンの造船所跡において、「バランタイン」に伝統的にブレンドされるグレーン・ウイスキーの生産等を手掛けることになるダンバートン・グレーン・ウイスキー蒸留所を建設し、それに伴ってブレンド・ボトリング・プラントの複合施設も完成した年であり、また、現在も使われているジョージ・バランタイン&サン社の紋章が、スコットランド紋章院の許可を受けたという節目のひとつにあたる年でもあります。

以下、ボトルのネックに掛けられたタグの文章を要約します。

『このウイスキーは、1939年以前の原酒を使用しています。
何故なら、戦争期間中(第二次世界大戦 1939年~1945年)ウイスキーの生産は最小限に抑えられ、ほとんど原酒が無いためです。
そのためバランタイン30年は、(1946年の原酒が30年熟成を迎える)1976年まで入手困難となります。
このボトルは、1973年、イタリア市場向けに1200本のみ販売されたバランタイン30年です』


そして、№23というシリアルナンバーが示す通り、1200本中、23番目にボトリングされたものです。
ここまではっきりとした履歴が判るオールド・ボトルも珍しいと思います。
しかも、ジャパン・インポートさんの目利きなので信頼に足るコンディションであると言えるでしょう。

戦前から戦後の今日までを生き抜いてきた貴重な原酒が、まさに時空を越えて今ここにあります。この、枯淡にして芳醇な八十路を刻む美酒を、是非ともご堪能下さい。


キングス・ランサム 12年 (陶器)

このブレンデッド・スコッチ・ウイスキーは、ウイスキーの司祭と呼ばれた名ブレンダー、ウィリアム・ホワイトリー氏によって理想形の一つとして生み出されました。

名前の由来は、あまりの旨さに『王様の身代金(キングス・ランサム)に匹敵する』と云われたことによります。
かつては、イギリスをはじめヨーロッパ各国の王室、アメリカのホワイトハウスには必ず常備されていたという、いわゆる御用達の高級酒です。

1945年7月から、第二次世界大戦の戦後処理を決定するために開かれたポツダム会談の晩餐の席において、唯一、スコッチ・ウイスキーの銘柄として供されたことでも有名です。

そしてこのボトルは、クリーミーなエドラダワー蒸留所の原酒がメイン・モルトとしてふんだんに使用されているであろう、1960年代~70年代初頭に流通していたものと思われます。

同氏がエドラダワー蒸留所を買収したのは1925年。まずはその原酒を使って、「ハウス・オブ・ローズ」というイギリス上院議会用の銘柄をリリースします。

そして、その後にリリースされる「キングス・ランサム」は、さらに手間暇をかけたものとなりました。ブレンド後のマリッジ(ブレンドした原酒達をなじませる作業工程)を、世界一周航路の船にて行うという“ラウンド・ザ・ワールド”という手法がとられたのです。ラベルにも、Round The Worldの文字が見られます。

そのマリッジにはシェリーの空き樽が使用され、バラスト(船の重り)としてそれらの樽を船底に積み込んで、しばらくの間航海に出るのです。適度な湿度、温度、揺れは、原酒のマリッジと貯蔵には非常に適していたのだとか。

ボトリングされてから約半世紀を経て、縁あって弊店に入荷してまいりました。
是非、ご賞味あれ。


キング・オブ・スコッツ 17年

ブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの「キング・オブ・スコッツ」は、インディペンデント・ボトラーズのダグラス・レイン社(1949年創業)によって製造されています。インディペンデント・ボトラーズとは“独立系瓶詰業者”の意味で、数多ある蒸留所から独自の視点で樽を購入して瓶詰めを行い、オリジナルのラベルを貼った“インデペンデント・ボトル”として、主にシングル・モルトを販売する業者のことです。すなわち、彼らは自社の蒸留施設を持ち合わせていません。それに対して、“オフィシャル・ボトル” (ディスティラーズ・エディション)と呼ばれる製品は、各蒸留所元詰めとして販売されるもので、蒸留所内の複数の樽をバッティングし、加水調整や低温濾過を施して(行わない場合もある)品質の均一化を図った、大量販売を旨とするシングル・モルトのことです。

もともとスコッチ・ウイスキーは、モルト・ウイスキー(大麦麦芽を原料として、単式蒸留器で蒸留したウイスキー)とグレーン・ウイスキー(トウモロコシや他の雑穀を原料として、連続式蒸留器で蒸留したウイスキー)で造るブレンデッド・ウイスキーが主流でした。そして、生産は各蒸留所、瓶詰めや販売は各瓶詰業者と、それぞれ役割分担が決まっていたのです。つまり、各蒸留所は、ブレンダーや瓶詰業者の注文に応じて生産したウイスキーの樽売りのみを商売の基本線とし、その後のブレンディングやボトリングは瓶詰業者が行っていたということになります。
ところが、モルト・ウイスキーのブームが到来し、それとともに各蒸留所が自ら瓶詰めして、“オフィシャル”のシングル・モルト・ウイスキーとして販売するような流れが出来上がりました。
今日、“オフィシャル・モルト”と“ボトラーズ・モルト”が共存共栄するようになったのは、このような背景があるようです。

今回ご紹介するのは、ダグラス・レイン社が造る、シングル・モルトではなく“ブレンデッド・スコッチ・ウイスキー”のキング・オブ・スコッツ17年です。膨大に良質の樽を保有していることで有名な同社によって、それらの樽とブレンド技術を駆使して製造されたものです。このボトルは現行流通品ではなく、おそらく1970年代後半から1980年代前半の流通品ではないかと思われます。この時代や近年の製品に使用されているモルトとグレーンの種類やブレンド比率は、20世紀初頭のそれとは異なり、スペイサイドやハイランド産の原酒を中心として構成されているようです。
ウェッジウッド系列の陶器に詰められた17年は知っているのですが、この茶瓶の17年は初見です。はてさて、どのようなテイストなのでしょうか?
ご興味がおありの方は是非お試し下さい。


バロックレイド・エクストラスペシャル・ゴールドラベル  (イタリア向け 1970年代流通品 750ml 40%)

バロック・レイド社は、1863年にカリラ蒸留所(アイラ島/スコットランド)を買収しました。その後、第一次世界大戦中に倒産の憂目に遭ったということですが、同社からリリースされていたのがこの製品です。

「ブレンデッド・スコッチ・ウイスキー」ということになっていますね。

うーん、でも、「EXTRA SPECIAL」という表記の、この年代のボトルに関しては何か引っ掛かる…。

というのは、ラベルに、「BLENDED」の類の表記が全く見当たらないからです。まあ、そういう時代もあったんでしょうか?インポーターにも尋ねてみたのですが、歯切れのいい答えが返ってきません。
「絶対というわけではないですが、それでも、限りなく100%に近い確率でブレンデッドだと思います」みたいな…。

当時、「オールド・ラリティ」というブレンデッドがリリースされていましたが、それは、このバロックレイドの上級品とされているところをみると、やはりブレンデッドということで落ち着くのでしょうか…。

近頃、90年代初頭に流通していたとされる、バロックレイドのハーフボトルが少量輸入されました。そのラベルには、以下のような表記があります。

DISTILLÉ MÉLANGE ET EMBOUTEILLÉ EN ÉCOSSE

DISTILLED BLENDEDAND BOTTLED IN SCOTLAND

恐らく、EU辺りから引いてきたんでしょうか?
フランス語と英語で、蒸留と原酒のブレンド、そして瓶詰めがスコットランドでなされたという旨が記されています。これは、間違いなくブレンデッドですね。

そして、80年代に流通していた「EXTRA SPECIAL」の表記が「IMPORTED」になっっているフルボトルにも、下記の通り、しっかりとブレンデッドであることが謳われています。

AGED & BLENDED BY BULLOCH LADE & Co,LTD

でも、この70年代流通品と言われるこのボトルは…。

結局、何が言いたいのかというと、もしも、昔のとてもやさしい味だったとされるカリラの、40%に加水されてはいるけれども、そのシングルモルトが瓶詰めされていたらいいのにという、他愛も無
いことを言いたいだけなのです。
でも、間違いなくブレンデッドでしょう。

気になる方は、是非どうぞ!


インディペンデント・ボトラーである「ブラッカダー社」のシングル・モルトで、初期ラベルのものです。

 

左から、

 

「リンクウッド17年」 ~スペイサイド・モルト~

 1978年7月15日に蒸留されて、1995年11月に瓶詰めされたものです。

 アルコール度数 43%(加水タイプ)

 

「タムナヴーリン1978 リミテッドエディション」 ~スペイサイド・モルト~

 1978年11月3日に蒸留されました。瓶詰め総本数は240本で、162番目のボトルです。

 アルコール度数 60.2%(樽出し)

 

「モートラック1984 リミテッドエディション」 ~スペイサイド・モルト~

 1984年12月11日に蒸留されました。瓶詰め総本数は340本で、339番目のボトルです。

 アルコール度数60.9%(樽出し)


サントリー・一八九九

1899年は、サントリーの前身である「鳥井商店」の創業年です。この年に、葡萄酒の製造販売が始まりました。

そして、1906年、店名が「寿屋洋酒店」となり、翌年の4月1日に「赤玉ポートワイン」が製造販売されています。

その後、1921年に、株式会社「寿屋」が設立され、今日の「サントリーホールディングス株式会社」に至ります。

 

同社がウイスキー事業に乗り出したのは、大正12年(1923年)で、京都・山崎にウイスキー蒸留所を建設しました。サントリー・一八九九は、1983年2月に、ウイスキー造りと、山崎蒸留所竣工60周年を記念して発売された、瓶詰め本数15000本の限定品です。


ダルチモン・ナポレオン ベル・フェ

ダルチモン家は、16世紀初頭には、広大で肥沃な自家ぶどう園で収穫したぶどうを自家消費用として蒸留していました。しばらくその方向性は続いたのですが、1853年、同家は会社組織として企業化することを決意し、フランス南西部のコニャック市を中心とする地域に流れる、シャラント川沿いにダルチモン社を設立して、本格的にコニャック(ブランデー)づくりに取り組むようになります。

同家は、社是である“高品質・少量生産”を貫くが故に“知る人ぞ知る”という存在になっていて、フィーヌ・シャンパーニュ規格(グランド・シャンパーニュとプティット・シャンパーニュ地区産のぶどうだけをブレンドした製品)のV・S・O・P以上のクラスのコニャックしかつくらない方針をとっています。

コニャックは、熟成年月の若いものと古いもの、また、地域の異なった原酒をブレンドして製品化されるのが一般的です。フランス国立コニャック協会(B・N・C)では、ブレンドした原酒のうち、酒齢の最も若いものを基準としていくつかの表記を認めています。
そのうちのひとつであるV・S・O・Pは、Very Superior Old Paleの略で、最低熟成年月は5年以上(当然、長熟の原酒も含まれている)であることを示しています。また、2年以下{☆☆☆(スリースター)未満}のものは使用してはいけないことにもなっています。

ただ、☆☆☆以上の表記に関しては各社まちまちとなっていて、一概にB・N・Cの基準に沿った熟成年月であると言えないのが現実です。また、この基準を使用せずに、シンプルに熟成年数の数字だけを表記した製品や、原酒のブレンドはせずに、単一年や単一地域の原酒のみをボトリングした製品などもあります。

今回ご紹介するのは、ダルチモン社がつくった「ダルチモン・ナポレオン ベル・フェ」です。おそらく、1980年代の流通品と思われます。そして、B・N・Cの定める基準でいう、ナポレオン・クラス(ブレンドする原酒の最低熟成年数は7年以上)の製品です。
同社の通常のナポレオンはガラス瓶に詰められたものですが、この製品はそうではありません。「ベル・フェ」とは、フランス語で「美しき妖精」という意味ですが、その名の通り、美しい妖精が模られた素敵な陶器に詰められています。

このことからも、通常のナポレオン・クラスの原酒ではなく、特別な原酒が詰められているであろうことが想像できます。大量生産を良しとせず、クオリティの高い製品をつくり続けるという同社のポリシーがうかがえるテイストを、どうか、心ゆくまでご堪能下さい。


シルバー・ペパーミント・リキュール

 

日本にウイスキーブームが巻き起こった、昭和40年代後半から50年代に、奈良県で操業中だったシルバー・ウイスキー株式会社謹製の、「シルバー・ペパーミント」が入荷しました。
悩殺のボディラインですね 。

 

このリキュールを、ワン・ティースプーンだけ使用して創るモヒートは、「いにしえモヒート」と命名します。
是非、オーダーして下さいね。

 

左側の美しい京紫の色彩を放つお酒は、同社の「クレーム・ド・バイオレット」です。この貴重なボトルも、残り僅かとなりました。

 

ちなみに、シルバー・ウイスキー株式会社は、輸入、及び、他社から買い付けた原酒と、自社で蒸留した原酒を使って、 主に「シルバー・フォックス」というウイスキーを製造していました。確かな資料は残されていないようですが、同社が消滅した後、ウイスキーの蒸留に使用されていたポットスティルは、明石の地ウイスキーメーカーである、「江井ヶ島蒸留所」に譲渡されたということです。